分類 |
質 問 |
回 答 |
1.全般 |
1.FRPとは何ですか |
Fiber Reinforced Plasticsの略語です。日本では繊維強化プラスチックとか強化プラスチックというように言われます。一般のプラスチックは軽くていろんな形にできるので日常生活にもたくさん利用されていますが、FRPは強化用繊維の効果によって、うんと強く、剛性があります。 |
2.FRPの特徴は何ですか |
「鉄よりも強く、アルミよりも軽い」という言葉で言い表されますが、実際に使われる際は、さらに、いろんな色や形にでき、腐食に強く、電気絶縁性があり、断熱性がいい、光を透せるなどなど多くの特徴があります。 |
3.FRPの欠点と言えば何でしょうか |
FRPはプラスチックですから、やはり燃えます。また、擦れば傷つきます。また、金属のように二次加工で曲げたり、溶接したりはできません。価格的にも普通のプラスチックに比べると高いことが多いです。 |
4.FRPは日本ではどのくらい使われていますか |
年間20〜30万トンが使用されています。住宅のバスタブなどの比率が大きいので、住宅着工件数が増えると増加します。 |
5.FRPと環境はどういう関係がありますか |
FRPに使用する化学物質は強い毒性を有するものは使われていません。製造工程はエネルギー多消費型ではないので、全般的には、FRPは環境に優しい材料と言えます。 |
6.使用済のFRPはリサイクルできますか |
リサイクルできます。現在最もさかんに行われているリサイクル方法は、セメントの(原料+燃料)として完全にリサイクルする方法です。また、分解して元の原料に戻す方法も研究されています。 |
2.素材 |
1.標準的なFRPの材料構成にはどんなものがありますか |
不飽和ポリエステル樹脂とガラス繊維が主材料です。不飽和ポリエステル樹脂には、いくつか種類があります。また、似た種類ですが優れた性能のビニルエステル樹脂もあります。ガラス繊維にはマット状、織物状、連続したものなど様々なものがあり、必要性能や成形法によって選択されます。カーボン繊維にも様々な形態のものがあります。 |
2.ガラス繊維とカーボン繊維の使い分けはどうするのですか |
コストの観点からガラス繊維が推奨されますが、特に軽くて強く、剛性が高いことを追求する場合にはカーボン繊維が使用されます。 |
3.ガラス繊維やカーボン繊維はふわふわして柔らかいのに、FRPはなぜ強いのですか |
繊維同士を樹脂で固着することによって、繊維全体に力が伝わるようになり、繊維が持っている性能が発揮されるようになります。和紙を糊で積み重ねた「ねぶた」のようなものです。 |
4.軽いといいますが、どのくらい軽いのですか |
体積当りの質量(密度)でみますと、FRPが1.4〜2.0程度であり、アルミニウムの2.7や鉄鋼の7.8よりも小さくなります。 |
5.FRPの外観は作り方によって異なりますか |
成形方法によって外観は異なります。ピカピカの艶がでる場合、ガラス繊維のパターンが目立つ場合など様々です。必要な製品の形状-必要数量-成形方法によりますので、ご相談下さい。 |
6.材料に有害物質は含まれていませんか |
環境面や、人体に影響を与える有害物質は含んでおりません。 |
7.ガラス繊維が表面にでてきませんか |
紫外線や雨の影響により、表面層樹脂分が分解し、ガラス繊維が出てくることがあります。対策として、ハンドレイアップ成形法ではゲルコート法による成形、他では、表面への不織布の配置、表面への塗料塗布などの方法があります。 |
8.ガラス繊維に有害性はありませんか |
IARC(国際がん研究機関)で、ガラス繊維は発がん性に対する評価では、グループ3(ヒト発がん性に分類し得ない)となっています。http://www.glass-fiber.net/kaigaijyoho/img/0812glass_safty.pdf |
9.FRP成形品の最大寸法はどのくらいまで可能ですか |
FRPの作り方によって異なります。ハンドレイアアップでは木型を利用することにより、漁船などのように非常に大きなものが成形できます。 |
10.光が透過するようなものもできますか |
ガラス繊維を使用し、樹脂の硬化反応をマイルドに行うなどの工夫によって、半透明の製品を作ることが可能です。 |
11.使用済のFRPはリサイクルできますか |
リサイクルできます。現在最もさかんに行われているリサイクル方法は、セメントの(原料+燃料)として完全にリサイクルする方法です。また、分解して元の原料に戻す方法も研究されています。 |
3.性能 |
1.FRPの耐候性はどうですか |
促進暴露試験や実際の屋外暴露試験などの結果から、外観上のつやの低下はあるものの、強度の低下は少ないことを確認しております。設計上の考え方についてはご相談下さい。 |
2.FRPの電気絶縁性は |
ガラス繊維も使用する樹脂も電気絶縁性に優れており、FRPは電気絶縁性を有しています。実際のご使用においてはご相談下さい。 |
3.FRPの電波透過性は |
FRPは電波透過性に優れており、歴史的にレドーム、レーダーカバーなどに使用されてきました。 |
4.FRPに磁性はありますか |
プラスチック特有の非磁性体です。従って、誘導電流が発生するような場所においても発熱ロスが生じるようなことはありません。 |
5.耐熱性は |
基本的に熱硬化性のため、加熱による軟化が激しかったり、溶融したりすることはありません。環境温度とその温度で必要な機能によって使用の可否を決めることになります。一般には80℃以下での使用を推奨しますが、使用する樹脂の種類にも依存するため、ご相談下さい。 |
6.耐薬品性 |
酸やアルカリなどに対して良好な耐食性を示します。使用する樹脂の種類によって、さらに優れた耐食性を持つようにできますので、ご使用にあたってはご相談下さい。 |
7.FRPの燃えにくさはどうですか |
FRPに使用する樹脂は基本的には可燃性のものです。ガラス繊維は不燃性であり、使用する難燃性充填材によっても、火源を取り去ると消火するなど、かなり燃えにくくはなりますが、燃えるものであるという前提でお考え下さい。 |
8.FRPの品質管理といえば普通どんなことをしますか |
原材料の検査、製造工程内での管理項目のチェック、製品の外観、寸法、物性などの検査を行います。初回品については、お客様でのご使用確認も大切な項目です。設計に際しては、長期耐久性、用途によっては特別な特性の把握、試作品による事前確認試験などが付加されることがあります。 |
9.低温の影響はどうですか |
FRPは低温下での特性は大変優れています。常温よりもむしろ向上する傾向にあります。 |
10.FRPは摩擦には強いですか |
FRPの表面を硬い材料で摩擦しますと、表面は傷つきます。これは、一般のプラスチックに比べても良いということはありません。 |
4.設計 |
1.FRPの設計は鉄鋼などの設計と同じですか |
基本的には同じですが、FRPには機械的な特性の方向性がある場合があり、特別な配慮が必要です。また、鉄鋼などよりも弾性率が低い(力をかけた時の変形がより大きい)ので、形状での工夫が必要な場合もあります。詳細はご相談下さい。 |
2.FRPの設計で長期耐久性をどう扱いますか |
数十年単位の長期に屋外などで使用される場合は、屋外暴露による低下も見込んだ上で、設計を行います。詳細はご相談下さい。 |
3.FRPの設計に役立つ参考書はありますか |
社団法人強化プラスチック協会発行の「FRP構造設計便覧」が推奨されます。 |
4.FRPの設計で、特に留意することはありますか |
FRPの作り方からくる形状の自由さや色彩の多様性を生かして、FRPにうまくマッチした設計の工夫が望まれます。 |
5.加工 |
1.FRPを自分で切断加工できますか |
切断工具(丸鋸、サンダー、ジグソーなどの電動工具やエアーツール等)により、切断可能です。切断面の仕上げとして、サンダーやサンドペーパーで仕上げすることをお勧め致します。 |
2.塗装はできますか |
塗装可能です。塗料は「アクリル変性ウレタン塗装」と「フッ素塗装」などが用いられます。必要な下地処理などもありますので、詳細はご相談下さい。 |
3.FRPが壊れたときに補修はできますか |
樹脂パテや樹脂材料による補修が可能です。但し、クラックや欠けの大きさや数により、現品交換が、良いと判断されるケースがあります。 |
4.他の部品を取るつけることは可能ですか |
部品を取り付けるには、一般に利用されるボルト接合、リベット接合が可能です。また、接着による接合も可能です。また、FRP独特のオーバーレイ接合という方法もあります。いずれも要求機能から選ぶことになりますので、詳細はご相談下さい。 |
5.二次的な曲げ加工ができますか |
FRPは熱硬化性プラスチックの為、加熱による曲げ加工や、常温曲げ加工(コールドフォーミング)などの二次加工は不可能です。 |
6.溶接はできますか |
FRPの溶接はできません。 |
7.切断した時に発生する粉塵は体にどうですか |
体に対して、じん肺など重大な作用はありませんが、継続して粉塵を吸い込むことは望ましくありませんので、N95規格の防塵マスクを着用して下さい。また、粉塵は皮膚を刺激し、かゆみを感じることがありますので、作業にあたっては、なるべく皮膚を露出しないようにして下さい。 |
6.用途 |
1.FRPの用途にはどんなものがありますか |
非常に多くの分野で既に使用されております。弊社のホームページの製品紹介欄からもご覧いただけます。また、社団法人強化プラスチック協会では「用途事例集」を発行しております。 |
2.FRPは塩害(海岸線)のある場所で使えますか |
FRP製漁船があるように、FRPは塩害に強い材料です。海岸地域でのご使用はFRPの最も得意とする分野です。 |
3.FRPの身近な使用例を教えて下さい |
身近なところでは、浴槽、ベンチ、ヘルメット、釣竿、ゴルフクラブのシャフト、スキー板、グライダー、テニスのラケット、集合住宅の大型水槽、などなどたくさんあります。 |
7.その他 |
1.FRPは新しい材料ですか |
いいえ、FRPは第二次世界大戦の頃には既に米軍で使用されておりました。日本では当社などが1955年頃から取り組んできましたので、もう50年以上の歴史があります。 |
2.製作期間はどれくらいかかるものですか |
成形方法によって異なります。既に型ができている場合、新たに型を製作する場合、木型による場合、量が多いので金型による場合など多様です。詳細はご相談下さい。 |